管理組合の貴重な資産である管理費、修繕積立金等の資金を、当の組合の役員などが横領してしまう事件が、度々業界紙紙面に大きく取り上げられます。極めて残念な事態としか言いようがありません。

そんな中で、昨年10月の東京高裁の判決では、会計担当をしていた役員が約10年の間に1億円以上の額を着服し、それに対しその当時の理事長、会計監査担当役員が「会計業務が適切に行われていることを確認」しなかったことから、賠償責任を負うこととなってしまいました。(一部弁済されたため被害額は約5,000万円強)

賠償額は、被害額の9割の過失相殺などがされましたが、元々の額が膨大だったため、1割分でも約464万円となったとのことです。

このような事件からつくづく思うことは、各組合員のマンション管理に対する無関心によって、後に自分たちにとてつもない災難が降りかかってくるおそれがあるということです。

資産の毀損もそうですが、適切な修繕の実施に無関心であったために、気が付いたら建物、設備が著しく劣化し人(自分達自身も含む)に危害を加えてしまった、ということも考えられます。

管理組合の会計に携わり、目の前の誘惑に負け大金に手を付けてしまう、などという事件は、政治と金の話題や、有名人の覚せい剤の話題がなくならないように、(ちょっと話を広げすぎですか?)根絶はしないのかもしれませんが、少なくとも組合員の皆さん、特に役員の方々が、少し意識と自覚を持って管理組合業務に携われば、最悪の事態は防げると思います。

煩わしいと思われることもあるかもしれませんが、見方を変えて取り組んでみると、案外、管理組合業務に興味が湧いてくるかもしれませんよ!(私自身がそうでした。)

〈追記〉H28.2.14
上記事件は、偽装された預金の残高証明書を当時の理事長達が見抜けなかったことが指摘されました。「無関心」は言い過ぎかもしれませんが、状況により、そこまで問われてしまうということです。金銭の管理は本当に注意が必要、ということかと思います。

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士