これまで当ブログでも何度かご紹介したマンションの「管理計画認定制度」がいよいよこの2022年(令和4年)4月1日から施行されました。とは言っても、まだまだ認定申請の受付を開始している自治体は少ないようです。どういうことなのでしょうか。
(神奈川県は同日から申請受付開始。横浜市は本年11月頃の予定。その他の市は未定が多い)
このマンション管理計画認定制度は、極簡単にいうと、マンションの管理の状況を「計画」となる申請書として作成し、地方公共団体(都道府県又は市区)に申請し認定を受ける、という制度です。(図1:国土交通省資料より)
根拠となる法律はマンション管理の適正化の推進に関する法律(「マンション管理適正化法」)ですが、この法律で定めている認定手続はこれだけなのです。
しかし、国はこの認定申請手続の前に、マンション管理センターに「事前確認」を行う、という手続の流れを追加設定しました。(図2:国土交通省資料より)
これはつまり、本来法律では、申請内容を審査するのは都道府県等なのですが、マンション管理に精通しているはずの我々のようなマンション管理士に、本申請前の内容確認をさせて、前捌きをしよう、ということです。
ここまでは、まあよかったのですが、ここから更に欲張ってしまったために、トンデモナイことが起きました。この認定申請に、民間のマンション管理審査制度二つを組み込んだのです。その二つの制度とは、
➀マンション管理適正化診断サービス(日本マンション管理士会連合会)
②マンション管理適正評価制度(マンション管理業協会)
です。これによって認定申請の流れが非常に複雑になってしまいました。(図3:公益財団法人マンション管理センターホームページより)
おそらく管理組合の方がこのフロー図を理解するのはなかなか難しいのではないかと思われます。
法律の公布(2020年6月)から施行まで約2年ありましたが、このような複雑な申請手続
を組み立てるのには、関係者の方々はさぞ苦労されたのではないかと思います。また、申請を受け付ける各自治体も新たな認定制度創設の準備に結果的に追い付いていないのではないかと推測します。
そうは言っても制度はスタートいたしました。実は我々も「事前確認」ができる体制を今になって準備しているところです。できるだけ早く準備を完了し、皆さま管理組合の申請のお手伝いができればと考えているところです。
投稿者プロフィール
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28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士
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