本日(H29.5.10)、このところ話題となっている「不適切コンサルタント問題」に関するセミナ―を受講してきました。

この話題は、昨年11月、一般社団法人マンションリフォーム技術協会が同会会報において「不適切コンサルタント問題への提言」として、管理組合が行う大規模修繕工事等に際し、そのコンサルタントとして委託された設計監理業者の一部が、計画的・組織的に工事会社からバックマージンを受け取っている、との指摘をした事に端を発しています。本日受講したセミナーも、同協会の方がパネラーとなって行われました。 

この問題は、おそらく近年に始まったことではないと推察しますが、セミナーでは、このところより活発に大胆に、そして上記のとおり、計画的・組織的に行われるようになってきたことを指摘していました。 

構造的ともいえるこの問題は、多少であれば許容されるものと思いますが(紹介料などはどの業界でもあり得るものではないでしょうか?)、それが過度に不透明な形で行われ、かつ、管理組合に不利益をもたらすとしたならば、不適切性を帯びることとなると考えます。 

今回の上記協会の提言は、同業者が行っていることを知り得る立場にあった方々からの告発の意味があるのだろうと推測します。その意味で、その勇気ある行為をリスペクトしたいと思います。 

ただ、今回のセミナーで残念だったのは、このような問題に対し管理組合を支援する専門業者として、マンション管理士の存在があまり期待されていなかったことです。 

一般的には、設計監理コンサルタントは大規模修繕工事等の大事業の際に、管理組合をサポートしますが、それは一時的なものです。ですから、その際に都度、その人物が不適切コンサルタントかどうか見極めなければなりません。それに対し、平素からこのような大事業の時まで、常にその管理組合をサポートできる存在であり、管理組合側が、人柄も仕事ぶりも熟知している顧問マンション管理士がいれば、不適切コンサルタントを心配する必要は少なくなると思われます。 

セミナーで指摘されていたのは、設計監理コンサルタントの役割を担えるだけのマンション管理士がいるのか、ということでした。これは、私たちに突き付けられた課題であり、また、まだまだマンション管理士の有効な活用方法が広く認められていないことも思い知らされました。 

我々マンション管理士は、管理組合から、より信頼される存在となるべく研鑽を積むことが今後とも必要だと改めて認識したセミナーとなりました。

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士