皆様、「大規模盛土造成地マップ」というものをご存じでしょうか。
「ハザードマップ」はご存知の方も多いと思いますが、このマップあまり聞きなれないでしょうし、我々マンション管理士仲間でもまず話題になることはありません。ただ、敷地の管理という意味では知っておいた方がよい情報ですので、少しマニアックですが、今回話題として取り上げることとしました。
このマップは元々、新潟県中越地震等での盛土造成地の崩落被害を踏まえて、平成18年に宅地造成等規制法が改正され、「造成宅地防災区域」の指定制度が創設されたことにより作成することとなったマップです。
また、聞きなれない法律と聞きなれない区域名が出てきてしまいましたが、造成宅地防災区域とは、簡単にいうと、地震などの災害により相当な被害を受けるおそれが大きい大規模盛土造成宅地に対して自治体が指定する区域のことです。
現在、全国の自治体で、造成宅地防災区域の指定に向けた作業が行われているところですが、現時点で指定されているのは北海道の1地区と、熊本地震により被災した熊本県内の地区です。(R3.8.9現在:指定後、安全対策工事の実施等により解除された地区もあります。)
大規模盛土造成地マップは、この造成宅地防災区域の抽出作業の過程において、始めに作成されたもので、大規模盛土造成地がどこにあるかを示したものです。つまり、危険な造成地を抽出する前段で、まず大規模盛土造成地がどこにあるかを把握し、そこからそれぞれの造成地の危険性を判断して絞り込みを行う、という作業をしているのです。
この大規模盛土造成地マップは、既に全国での作成作業が完了しており、国土交通省のホームページで公開され、各地のマップにリンクが張られていて閲覧することが可能です。
※https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi06_hh_000049.html
誤解があると困るのですが、大規模盛土造成地マップに表示された区域が全て「危険」ということではありません。一般的には、元々あった造成していない土地(「地山」といいます。)より、盛土は地盤が弱い場合があるので留意しましょうということです。
「敷地」は管理組合が管理すべきものの一つ(対象物件)ですが、建物や設備よりも関心が低いかもしれません。改めて、ご自分たちの敷地に大規模盛土があるのかどうか、あるとしたらどの位置・範囲がそうか、を把握しておき、管理の参考としておいてよいのではないかと思う次第です。
投稿者プロフィール
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28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士
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