新年を迎えてからあっという間に1月も半ばを過ぎてしまいました。「○○からもう1年も経つのか」などと思うこともしばしばありますが、自分が今年「還暦」という歳を迎えることにも、我が事ながら驚いています。
さて、今回は長期修繕計画と修繕積立金について、改めて思ったことを書こうと思います。
昨年(令和3年)9月、国土交通省は「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画ガイドライン」と「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を、それぞれ当初策定から10年以上経って改訂を行いました。
もう10年以上も経つのか、との驚きもありますが、やはり歳月の影響は大きく、それぞれのガイドラインの改訂内容で特に注意が必要だと思った点をいくつか挙げようと思います。
まずは、長期修繕計画ガイドラインですが、一点目は、大規模修繕工事の実施周期がこれまでの「12年目程度」から「12~15年目程度」に改められたことです。管理会社やコンサルタントの作成する長期修繕計画では、大規模修繕工事の実施周期はこれまでほとんど12年で設定されていたと思いますが、その根拠となっていた国の指針が変更されたこととなります。
二点目は、計画期間を「30年以上」とし、その間に大規模修繕工事が2回以上含まれることとされたことです。これは新制度である管理計画認定制度(詳細は省略します)の認定基準にもなっている要件です。
三点目は、修繕積立金ガイドラインの改訂です。これには修繕積立金の平均額の目安が示されているのですが、驚くべきことに、金額が改定前の1.25~1.6倍以上まで跳ね上がっていることです。ご自分のマンションの修繕積立金額がこれまでのガイドラインの額相当で安心していたら、将来資金不足で足元をすくわれかねない、ということになります。しかもこの額の目安は、二点目同様、上記認定制度の認定基準としても使われています。
国は、長期修繕計画の見直し(修繕積立金の額の検証を含む)について、概ね5年ごとの見直しを推奨し、上記管理計画認定制度でも7年以内の見直しを基準としていますが、自身が示しているガイドラインを10年以上放置したことにより、適切な政策誘導を怠ってきたのではないか、とすら思えます。
それはさておき、新たに国が創設した管理計画認定制度が施行となる本年以降、管理組合の皆様も、ご自分たちのマンションの管理状況や管理水準を見直す時期となっていることは間違いないと思います。
上述のとおり、今回ご紹介した二つのガイドラインの内容も、本認定制度に直結したものとなっていますので、参考にされることを強くお勧めする次第です。
【参考:国土交通省のホームページ: ガイドラインは中段にリンクがあります】https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
投稿者プロフィール
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28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士
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